こどもはオトナの父(The child is father of the man)
まるで子どもが一心に描いたような、本当に自由なモザイク壁画。丸の内の東京會舘のロビーに入った途端、私は目を奪われ近づき、見ると同時に触れてしまう。なんて自由なんだろう。なんて迷っていないのだろう。「私の中の小学生」とは、子どもの心を持ち続けるとは、こういうことなのだろう。
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『都市・窓』猪熊弦一郎。描かれたものでなく、白や赤の小さなモザイクタイルが散りばめられています。東京會舘はこの後、建て替え工事となった。このモザイク壁画はどうなったのだろうか。
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司馬遼太郎から、小学校教師の著者への手紙だそうです。
ふしぎですね。小生は8月で七十という頽齢(たいれい)ですのに、
中身にはたっぷり小学生がいます。
「こどもはオトナの父」という英国のたれでしたか、
そのように言ったことばを思いだします。
私の中の小学生が、物や事を感じさせてきて、
私のなかのオトナが、それを論理化し、
修辞を加えてきたに過ぎないのかと思ったりします。
神山育子『こどもはオトナの父―司馬遼太郎の心の手紙』朝日出版社 1999
著者 神山育子(小学校教師)は、司馬遼太郎の「洪庵のたいまつ」と、「二十一世紀に生きる君たちへ 」を、授業の教材にしたそうです。授業を終え、子どもたちの感想を司馬遼太郎へ送ったところ、司馬遼太郎から届いた心温まる手紙です。
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「英国のたれ」とは、イギリスの詩人 ウィリアム・ワーズワースのことで、「こどもはオトナの父」は、詩「虹(My Heart Leaps Up)」の中にありました。
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子供のころの純真な心を持ち続け、そこから学びとったことは、後に大人になったとき、様々な場面で有形無形に、表れてくるはずです。
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もっとも、心にコドモがいなくなっている
オトナがたくさんいますが、それはもう、
話すにも値いしない人間のヒモノですね。
神山育子『こどもはオトナの父―司馬遼太郎の心の手紙』朝日出版社 1999
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